しくみ

こどもNISAで何を買う?銘柄の選び方と個別株が買えない理由

こどもNISAでは、買えるものが一部の投資信託に限られています。親が決めるのは、どの投資信託を月にいくら積み立てるかの2つです。財務省の法律案要綱と指数会社の資料を読み、投資をしたことがなくても選べるように、言葉の意味から順に整理しました。

マリ

この子が大人になるころに伸びていそうな会社の株を、こどもNISAで買えないかな?

ユキさん

1つの会社の株は、こどもNISAでは買えないんです。買えるのは投資信託だけです。

マリ

投資信託って、名前はよく聞くけど、何なのかはよくわからないな。

ユキさん

たくさんの会社の株を、少しずつ詰め合わせたような商品です。そこから順に説明しますね。

この記事でわかること

  • 投資信託・株価指数・信託報酬の意味
  • 買えるのは投資信託の積立だけで、個別株は不可
  • 選ぶ順番と、指数の過去の成績
目次

こどもNISAで買えるのは、国が条件を決めた投資信託だけで、買い方も毎月など決まった額で買う「積立」に限られます。こどもNISAは、18歳未満の子どもの名義で投資でき、増えた分に税金がかからない制度です。選ぶときは、その投資信託が「どの株価指数に連動するか」で投資する範囲を決め、次に「信託報酬」という手数料を比べます。この記事では、投資信託・株価指数・信託報酬の意味を1つずつ説明してから、選ぶ順番に進みます。

投資信託は、たくさんの会社の株を少しずつ詰め合わせた商品

投資信託は、たくさんの人から集めたお金を1つにまとめ、運用会社のプロがたくさんの会社の株などに分けて投資する商品です。お菓子の詰め合わせのように、1本買うだけで、多くの会社に少しずつお金を出したのに近い形になります。

投資信託のしくみ あなた ほかの人 ほかの人 1つにまとめて 運用会社の プロが運用 たくさんの人の お金 投資信託 たくさんの会社の 株・債券 株 債券 1本買うだけで、たくさんの会社に 少しずつ投資したのに近い形になる ※値段は毎日変わり、買ったときより下がることもある
投資信託は、たくさんの人のお金をまとめて、プロがたくさんの会社の株や債券に分けて投資する商品です

株(株式)は、会社にお金を出した証しです。会社の業績がよくなると値段が上がりやすく、悪くなると下がりやすくなります。債券は、国や会社にお金を貸した証しで、決まった利息を受け取る約束がついています。投資信託には、株だけに投資するものも、株と債券を組み合わせたものもあります。

投資信託の値段は毎日変わります。買ったときより値段が下がれば、投資したお金より少なくなることもあります(元本割れ)。

こどもNISAで買えるのは、投資信託の積立だけ。個別株は買えない

こどもNISAで買える投資信託は、大人のNISAにある「つみたて投資枠」の対象と同じものです。つみたて投資枠は、長く少しずつ積み立てるのに向くとして国が条件を決めた投資信託だけを買える、NISAの中の入れ物です。

こどもNISAで買えるもの 投資信託を、積立で買う つみたて投資枠の対象(金融庁のリスト)だけ 買えないもの 個別株(1つの会社の株) 好きなときに好きな額を買う 成長投資枠を一緒に使えないため 毎月など、決まった額を続けて買う形だけ 18歳になった年の翌年からは大人のNISAに 移り、成長投資枠で個別株も買える
こどもNISAで買えるのは、つみたて投資枠の対象の投資信託を積立で買うことだけです(財務省 法律案要綱、三菱UFJ eスマート証券・楽天証券の案内をもとに作成)

どの投資信託が対象かは、金融庁が公表している対象商品のリストで確かめられます。

個別株が買えないのは、成長投資枠を一緒に使えないから

大人のNISAには、つみたて投資枠のほかに「成長投資枠」という入れ物もあります。年240万円まで投資でき、個別株(1つの会社の株)もこちらで買えます。ところが、こどもNISAの法律では、成長投資枠をこどもNISAと一緒には設けられません。個別株を入れる場所が、そもそもないわけです。

大人のNISA こどもNISA つみたて投資枠 つみたて投資枠 成長投資枠 成長投資枠 投資信託 投資信託 個別株もここで買う 一緒に設けられない 個別株も買える 個別株は買えない ※18歳になった年の翌年からは大人のNISAに移り、  成長投資枠で個別株も買えます
こどもNISAには成長投資枠がないので、個別株を入れる場所がありません(財務省 法律案要綱、金融庁「アクセスFSA」第270号をもとに作成)

私も自分の口座では個別株を買っていますが、子どもの口座では、その買い方は使えません。ただ、たくさんの会社に分けて投資する投資信託なら、1社がうまくいくかどうかで、子どものお金が大きく左右されることはありません。18歳になった年の翌年の1月から(正確には、その年1月1日に18歳である年から)は、口座が大人のNISAに移り、成長投資枠で個別株も買えるようになります。

毎月、決まった額を買い続ける(積立)

最初に証券会社で「どの投資信託を、月にいくら」と設定しておけば、あとは毎月同じ額が自動で買われていきます。

1年に投資できる上限 60万円 月にすると 5万円まで 100円から積み立てられる会社もある (GMOクリック証券・PayPay証券) 積立=毎月、決まった額を自動で買う 値段が高い月 値段が安い月 同じ額 同じ額 少しだけ買える 多めに買える 値段を見て、買う時期を選ばなくていい
1年の上限と、決まった額で買い続ける積立のしくみ(財務省 法律案要綱、GMOクリック証券・PayPay証券の案内をもとに作成)

こどもNISAで投資できるのは1年に60万円までで、月にすると5万円です。少ない額から始められる会社もあり、GMOクリック証券とPayPay証券は100円から積み立てられると案内しています。

毎回同じ額で買うので、値段が高い月には少しだけ、安い月には多めに買うことになります。値段の動きを見て買う時期を選ばなくていいのは、子育て中の親にとって楽な点です。

投資信託は何に連動する?株価指数は、市場全体の値動きの物差し

こどもNISAで買える投資信託には、「株価指数」と同じ値動きを目指すものがあります。株価指数は、たくさんの会社の株価をまとめて、市場全体の値動きを1つの数字にしたものです。ニュースで聞く「日経平均株価」やアメリカの「S&P500」が、その例です。

株価指数は、株価をまとめた1本の線 A社B社C社D社… 株価指数 市場全体の値動き 1社ずつの株価はばらばら まとめると1本の線に 日経平均株価 S&P500 MSCI ACWI 日本の代表的な会社 アメリカの代表的な大企業 日本を含む世界中の会社 クラスの平均点で、全体の調子を見るのに近い
株価指数は、1社ずつばらばらに動く株価をまとめて、市場全体の値動きを1本の線にしたものです(線は説明のためのイメージで、実際の株価ではありません)

1社ずつの株価は、上がる会社もあれば下がる会社もあります。それらを合わせて1本の線にすると、全体としての動きが見えてきます。クラスの1人ひとりの点数ではなく、平均点でクラス全体の調子を見るのに近い考え方です。

株価指数と同じ動きを目指す投資信託は「インデックスファンド」と呼ばれます。指数に入っている会社の株を、指数と同じような割合で持つしくみです。どの指数に連動するかで、投資する範囲が変わります。

  • 全世界の株式:日本を含む世界中の会社(MSCI ACWI などの指数)
  • アメリカの株式:アメリカの代表的な大企業(S&P500 などの指数)
  • 日本の株式:日本の会社(令和8年度の税制改正で加わった読売株価指数・JPXプライム150指数など)
  • 株と債券の組み合わせ:株と債券を、決まった割合で持つタイプ
全世界の株式 日本を含む世界中の会社(MSCI ACWI など) アメリカの株式 代表的な大企業 S&P500 など 日本の株式 読売株価指数 JPXプライム150 など + ほかの国の会社も入る 株と債券の組み合わせ 株と債券を、決まった割合で持つタイプ 範囲が広いほど、1社や1つの国の不調に 引きずられにくい。世界全体が下がれば一緒に下がる
指数ごとに、投資する範囲の広さが変わります。広さのイメージで、入る会社は指数ごとに違います(MSCI、金融庁「アクセスFSA」第270号をもとに作成)

範囲が広いほど、1つの国や1つの会社の値動きが全体に占める割合は小さくなります。その代わり、世界全体の株が下がるときには、一緒に下がります。

株価指数は、過去にどれくらい増えて、どれくらい下がった?

全世界株式とS&P500の指数は、数える期間によって1年あたり7%台から15%台で増えてきました。どちらもドル建てで、配当込みです。配当は、会社がもうけの一部を株主に配るお金で、「配当込み」はその配当で同じ株を買い足した前提の計算を指します。

1年あたりの増え方(配当込み・ドル建て) 全世界株式(MSCI ACWI) 過去10年 2000年12月から 12.58% 7.48% S&P500 過去10年 過去5年 2000年5月から 15.50% 13.40% 8.46% 下がった年・時期(全世界株式) 2018年 2022年 一番大きな下落 −9.41% −18.36% −58.38% ※一番大きな下落は2007年10月〜2009年3月 ※上下同じ目盛り。過去の実績で、将来の約束ではない
指数の1年あたりの増え方と、下がった年・時期。上と下は同じ目盛りで描いています。どれもドル建ての過去の実績です(MSCI ACWI Index ファクトシート 2026年8月31日版、iShares Core S&P 500 ETF 公式ページをもとに作成)

指数の年率リターン(ドル建て・配当込み)

指数 期間 1年あたり
全世界株式(MSCI ACWI) 過去10年(2026年8月末まで) 12.58%
全世界株式(MSCI ACWI) 2000年12月29日以降 7.48%
S&P500 過去10年(2026年6月末まで) 15.50%
S&P500 過去5年(2026年6月末まで) 13.40%
S&P500 2000年5月15日以降 8.46%

出典:MSCI ACWI Index ファクトシート(2026年8月31日版)、iShares Core S&P 500 ETF(IVV)公式ページのベンチマーク

表の「1年あたり」は、毎年その率で増えたという意味ではありません。上がった年と下がった年をならして、1年あたりに直した数字です。直近の10年は、2000年ごろから数えた場合より成績のよい期間でした。

下がった年もあります。MSCIのファクトシートでは、全世界株式の指数は2018年に9.41%、2022年に18.36%下がりました。一番大きな下落は2007年10月末から2009年3月までの58.38%で、半分以下になった時期があります。2000年から数えた7.48%にはこの下落が入っていて、過去10年の12.58%には入っていません。

日本で買う投資信託は、円で買って円で値段がつきます。そのため、ドルと円の交換レート(為替)の動きと信託報酬の分だけ、この表とは結果が変わります。

ここに書いた数字は、どれも過去の実績で、将来の成績を約束するものではありません。たとえば今1歳の子なら、こどもNISAで積み立てられるのは16〜17年ほどです。その間に、大きく下がる年が1度や2度あると考えておく方が安全です。

信託報酬は、投資信託を持っている間ずっとかかる手数料

信託報酬は、投資信託を保有している間ずっとかかる手数料です。投資信託の財産から差し引かれるので、自分で払う場面はありませんが、引かれた分だけ増え方が小さくなります。

同じ指数の投資信託を2本比べると 投資信託A 投資信託B 値動き 値動き ほぼ同じ ほぼ同じ 信託報酬 年0.1% 信託報酬 年0.5% 100万円を1年で 100万円を1年で 約1,000円 約5,000円 持っている間ずっと、財産から差し引かれる 引かれた分だけ、増え方が小さくなる ※0.1%・0.5%は、比べるための仮の数字
同じ指数に連動する投資信託なら、値動きはほぼ同じで、違いが出るのは信託報酬です。0.1%・0.5%は比べるための仮の数字です(資産運用業協会の用語集をもとに作成)

信託報酬は「年0.1%」のように、1年あたりの割合で示されます。年0.1%なら、100万円を1年保有すると約1,000円、年0.5%なら約5,000円です。

同じ指数に連動する投資信託なら、値動きはほぼ同じになるはずなので、差がつきやすいのはこの手数料です。1歳半から18歳まで月1万円を積み立てる計算では、値上がりが年0%でも、信託報酬が年0.1%と年0.5%で18歳の時点の額に約6.3万円の差が出ました(年率・信託報酬は仮定)。計算の中身はこどもNISAのおすすめは?の記事にまとめました。

選ぶ順番は、指数で範囲を決めてから、信託報酬を比べる

こどもNISAで決めるのは、どの投資信託を、月にいくら積み立てるかの2つです。銘柄(買う投資信託の1本1本)を選ぶときは、まず「どの株価指数に連動するか」で、全世界・アメリカ・日本・株と債券の組み合わせなど、投資する範囲を決めます。次に、同じ指数に連動する投資信託の信託報酬を並べて比べます。

この記事の要点 1 2 3 買えるのは投資信託の積立だけ まず、株価指数で範囲を決める 次に、信託報酬を比べる つみたて投資枠の対象だけ。個別株は買えない 全世界・アメリカ・日本・株と債券など 持っている間ずっとかかる手数料(同じ指数で) 決めるのは「どの投資信託」と「月にいくら」の2つ
この記事の要点

こどもNISAで決めることは少なく、この順番で比べれば候補はだいぶ絞れます。

月にいくら積み立てるかは、使いたい時期と金額から考えます。私はこどもNISAを、学費を出すイメージで積み立てたいと考えています。月の額ごとに18歳でいくらになるか、学費を払う年に相場が下がっていたらどうなるかは、こどもNISAは18歳でいくら?の記事にまとめました。

あわせて読みたいこどもNISAは18歳でいくら?大学の学費に足りるか積立額別に計算

あわせて読みたいこどもNISAのおすすめは?証券会社と投資信託を選ぶ3つの順番

よくある質問

QこどもNISAはいくらから積み立てられる?

会社によって違います。公表されている中では、GMOクリック証券とPayPay証券が100円から積み立てられると案内しています。上限は1年60万円で、月にすると5万円です。

QこどもNISAで個別株は買える?

買えません。個別株(1つの会社の株)を買うための「成長投資枠」を、こどもNISAと一緒には設けられないためです。買えるのは、国が条件を決めた投資信託を、毎月など決まった額で積み立てることだけです。18歳になった年の翌年から(正確には、その年1月1日に18歳である年から)は大人のNISAに移り、個別株も買えるようになります。

QこどもNISAの銘柄はどう選ぶ?

まず、投資信託が「どの株価指数に連動するか」で投資する範囲を決めます。株価指数は、たくさんの会社の株価をまとめて市場全体の値動きを1つの数字にしたもので、全世界の株式、アメリカの株式、日本の株式などがあります。そのあとで、同じ指数の投資信託の信託報酬(持っている間ずっとかかる手数料)を比べます。対象の投資信託は、金融庁が公表している対象商品のリストで確かめられます。

Q全世界株式とS&P500は、過去にどれくらい増えた?

ドル建て・配当込みの1年あたりの増え方で、全世界株式(MSCI ACWI)は過去10年が12.58%、2000年12月末以降が7.48%、S&P500は過去10年が15.50%、2000年5月以降が8.46%です。どこから数えるかで7%台から15%台まで変わり、大きく下がった時期もあります。どれも過去の実績で、将来を約束するものではありません。

参考にした資料

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