学資保険

学資保険とこどもNISAはどっちがいい?返戻率と保障の違いで比べる

学資保険とこどもNISAは、どちらも子どもの教育資金を用意する方法ですが、仕組みがまったく違います。保険会社が公表している返戻率を年の利回りに直し、保障のあるなしと合わせて、何を比べればいいかを整理しました。

マリ

学資保険って、投資に比べると増えないんじゃないかな?

ユキさん

株に投資する投資信託のこれまでの成績と比べると、学資保険の増え方は小さめです。その代わり、親が亡くなったときなどは、その後の保険料を払わなくても契約が続きます。

マリ

増え方だけで比べるものではないんだね。

この記事でわかること

  • 学資保険の仕組みと返戻率の見方
  • 年の利回りに直した数字と払込免除
  • こどもNISAと比べるときの観点
目次

学資保険は、毎月(または毎年)保険料を払い、子どもの進学のころに、決まった額のお金(学資金)を受け取る保険です。

増え方は、投資に比べると小さめです。ソニー生命の例で計算すると、払ったお金が1年あたり約1.5〜1.6%ずつ増えたのと同じくらいでした(受け取る時期を仮に決めて計算)。こどもNISAでよく名前が出るS&P500(アメリカの代表的な株価指数)の過去の成績よりは、低い数字です。

その代わり、学資保険には安心できる点が2つあります。受け取る額が契約のときに決まっていること。そして、親が亡くなったときなどは、それから先の保険料を払わなくても契約が続くことです。

増える見込みを大事にするならこどもNISA、決まった額と万一の備えを大事にするなら学資保険が向いています。

比べる相手のこどもNISAは、2027年1月に始まる国の制度です。子どもの名前で投資信託(運用会社が集めたお金で株などに投資する商品)を積み立て、増えた分に税金がかかりません。受け取る額は決まっておらず、投資信託の値段しだいで増えたり減ったりします。

学資保険は、受け取る額が契約で決まる貯蓄型の保険

0歳 10歳 18歳 22歳 保険料を払う (例:10歳まで) 払い終わり、 受け取りを待つ 学資金を 受け取る ※例:22歳満期で、保険料を10歳までに払い終える形 受け取り方は、大きく2つ 祝金+満期保険金 学資年金 進学の時期に祝金、 満期に満期保険金 18〜22歳などに 毎年受け取る 受け取る額は、契約のときに決まる
学資保険の流れの例と、受け取り方の2つのタイプ(生命保険文化センター「こども保険(学資保険)」をもとに作成)

学資保険は「こども保険」とも呼ばれ、貯蓄の機能がある生命保険です。受け取り方は大きく2つあります。

  • 入学や進学の時期に「祝金」、満期に「満期保険金」を受け取るタイプ
  • 18〜22歳など、何年かにわたって毎年「学資年金」を受け取るタイプ

保険の期間は「18歳満期」「22歳満期」のように、子どもの年齢で決まります。保険料を払う期間を保険の期間より短くして、払う総額を割安にした商品もあります。たとえば22歳満期でも、保険料は10歳までで払い終える、という形です。

子どもが亡くなった場合は、払い込んだ保険料と同じくらいの額などが、死亡給付金として支払われます。

返戻率は「受け取る額÷払う額」。100%を下回ると元本割れ

学資保険の数字でよく出てくるのが、返戻率(へんれいりつ)です。払い込む保険料の総額に対して、受け取る学資金の総額がどれくらいかを表します。ソニー生命のページの例で見ると、次のようになります。

払う額と受け取る額をくらべる 払う保険料 月15,500円 × 12か月 × 10年(1年で18.6万円) 1年2345 678910年 合計 186万円 受け取る学資金 40万円 × 5回 40万円40万円40万円40万円40万円 合計 200万円 +14万 返戻率 = 200万円 ÷ 186万円 ≒ 約107.5%(払った額より多く戻る)
返戻率の計算の例。受け取る学資金の総額を、払う保険料の総額で割ります(ソニー生命「学資保険の返戻率とは」の例をもとに作成)

返戻率が100%なら、払った額と受け取る額が同じです。100%を下回ると、受け取る額が払った額より少ない「元本割れ」になります。

ソニー生命「学資保険(無配当)Ⅲ型」の例(契約者30歳男性・子0歳、22歳満期、受け取り200万円)では、月13,172円を10歳まで払うと、払う総額は1,580,640円で、返戻率は126.5%です。同じ商品でも、月7,816円を18歳まで払うと総額は1,688,256円になり、返戻率は118.4%に下がります。数字は2026年9月29日に公式ページで確認したもので、2026年8月時点の保険料をもとにしています。

保険料を早く払い終える方が、返戻率は高くなっています。返戻率は、親の年齢や払い方、払う期間で変わるので、「学資保険の返戻率は○%」とひとまとめには言えません。

ほかの会社の返戻率の例は、払う期間や受け取り方などの条件と一緒に、次の記事の表に並べています。会社どうしの返戻率は、条件をそろえないと比べられません。

あわせて読みたい学資保険のおすすめはどれ?比較で見る7つの点と6社の公式の例

途中で解約すると、払った額より少なくなることがある

返戻率の126.5%や118.4%は、最後まで保険料を払い、決まった学資金を受け取ったときの数字です。途中で解約したときに戻るお金(解約返戻金)は、払った保険料の総額を下回ることがあります。ソニー生命は、特に短い期間で解約した場合は、払った額を下回ることがあるとしています。

年の利回りに直すと約1.5〜1.6%。S&P500と比べるときの注意

ソニー生命の例の返戻率126.5%は大きく増えるように見えますが、学資保険はお金を預けている期間がとても長い商品です。0歳から払い始めて、受け取るのは十数年後なので、1年あたりにすると、増え方はかなり小さくなります。

そこで、ソニー生命の月払の例を、年の利回りに直してみました。年の利回りは、払ったお金が1年あたり何%ずつ増えたのと同じになるか、という数字です。増えた分がまた増える「複利」で計算しています。

年の利回りに直した計算(私の試算)

  • 月13,172円を0歳から10歳まで120か月払い、合計200万円を受け取る場合(返戻率126.5%):年約1.6%
  • 月7,816円を0歳から18歳まで216か月払い、合計200万円を受け取る場合(返戻率118.4%):年約1.5%
  • 受け取る時期は、計算のために「18歳から22歳まで、毎年40万円ずつ」と仮定した。実際の受け取り時期は商品の条件で決まる。1年早く17〜21歳で受け取るとすると、どちらも年約1.7%
学資保険の例(ソニー生命、月払) 保険料を10歳まで払う(月13,172円) 払う 受け取る 約158万円 200万円 返戻率126.5% 年の利回りでは約1.6% 保険料を18歳まで払う(月7,816円) 払う 受け取る 約169万円 200万円 返戻率118.4% 年の利回りでは約1.5% ※契約者30歳男性・子0歳、22歳満期、2026年8月時点  の保険料。年の利回りは、18〜22歳に毎年40万円を  受け取ると仮定した試算で、条件で変わります
ソニー生命「学資保険(無配当)Ⅲ型」の月払の例(2026年9月29日に公式ページで確認)と、年の利回りに直した私の試算

18歳でいくらになるかの計算では、年3%・5%・7%を置きました。S&P500は、2000年5月から2026年6月末までの1年あたりの平均の増え方が8.46%です(配当込み・ドル建て)。数字だけ並べれば、S&P500の過去の実績の方が高いのは確かです。

ただ、この2つは同じ種類の数字ではありません。学資保険の年約1.6%は、最後まで続ければ受け取れる、契約で決まった数字です。S&P500の方は過去の実績で、将来を約束するものではありません。

下がるときの幅も大きく、株価指数(たくさんの会社の株価をまとめて1つの数字にしたもの)には、6割近く下がった時期もあります。くわしくはこどもNISAで何を買える?の記事にまとめました。子どもの学費を払う年にこういう時期が重なれば、計算どおりの額にはなりません。

もう一つ、学資保険では、親が亡くなったときなどは、その後の保険料を払わなくても決まった額の学資金を受け取れます。利回りだけを取り出して比べると、この違いが見えなくなります。

親に万一のことがあると、その後の保険料を払わなくてよくなる

こども保険では、契約者(多くは親)が亡くなったり、高度障害状態になったり、不慮の事故で所定の障害状態になったりすると、一般的にその後の保険料の払い込みが免除されます。これを払込免除といいます。満期まで、育英年金(養育年金)や一時金を受け取れる商品もあります。免除の条件は会社や商品で違うので、約款(契約の決まり)で確かめます。

こどもNISAには、この仕組みがありません。親に万一のことがあっても、それまでに積み立てた分は子どもの財産として残ります。ただ、その先の積み立ては止まってしまい、学資保険のように、決まった額が用意されることはありません。

親(契約者)に万一のことがあったら 亡くなる・高度障害状態になる、など 学資保険 こどもNISA その後の保険料は 払わなくてよい (払込免除) それまでの分は 子どものお金で残る 契約は続き、学資金 も受け取れる その先の積み立てを 続ける保障はない ※払込免除は一般的な仕組みです。条件は会社・商品で  違うので、約款(契約の決まり)で確かめます
親に万一のことがあったときの違い(生命保険文化センター「こども保険の保険料払込免除とは?」「こども保険(学資保険)」をもとに作成)

学資保険とこどもNISAはどっちがいい?学資保険はいらない?

大きく違うのは、受け取る額が決まっているかどうかと、親が亡くなったときなどに保険料を払わずに学資金を受け取れるかどうかの2つです。ほかの違いも含めて、表にしました。

観点 学資保険 こどもNISA
受け取る額 契約のときに決まる 投資信託の値段(相場)で変わる。払ったお金が減らない保証はない
元本割れ 途中解約や、払い方・期間の条件によってはありうる 相場が下がればありうる
親に万一のことがあったとき 一般的に、その後の保険料が免除される その先の積み立ては止まる
増え方の例 ソニー生命の例で年約1.5〜1.6%(条件つき) 決まっていない(試算は仮定しだい)
お金を使える時期 契約で決まった時期に学資金を受け取る 小学6年生の1月より前は原則引き出せない。そこから教育費・生活費なら引き出せ、制限がなくなるのは高校3年生の1月から
途中で解約すると 解約返戻金が払った額を下回ることがある 制限が外れる前に口座を解約すると、それまでの利益に課税される
買えるもの 保険会社の保険商品 国が条件を決めた投資信託(1つの会社の株は買えない)

表の学年は、法律の「その年3月31日の年齢」という基準から読み替えたもので、誕生日ではありません(くわしくはこどもNISAってなに?)。

たとえば、親が亡くなっても学費の積み立てが途切れないようにしたいなら、払込免除のある学資保険が合います。18歳の年まで使わないお金を長く置いておけるなら、こどもNISAで増える余地を取れます。「学資保険はいらない?」の答えは、親に万一のことがあったときの備えを、学資保険の払込免除に頼るかどうかで変わります。両方を少しずつ使う分け方は、次の記事にまとめました。

あわせて読みたい学資保険とこどもNISAは併用できる?役割の分け方と配分の考え方

学資保険 こどもNISA 受け取る額受け取る額 元本割れ元本割れ 親に万一のとき親に万一のとき 増え方増え方 使える時期使える時期 向いているのは向いているのは 契約のときに決まる 相場で変わる 元本保証はない 途中解約や条件に よってはありうる 相場が下がれば ありうる その後の保険料が 一般的に免除される 積み立てが続く 保障はない ソニー生命の例で 年約1.5〜1.6% (条件つき) 決まっていない (試算は仮定しだい) 契約で決まった時期に 学資金を受け取る 小6の1月から 教育費・生活費なら 高3の1月から自由に 決まった額と保障 増える可能性 ※学年は目安。基準は「その年3月31日の年齢」です ※返戻率や利回りは、会社・払い方・期間で変わります
学資保険とこどもNISAの違い(生命保険文化センター、ソニー生命、投資信託協会、財務省の資料をもとに作成)

表のどの行を大事にするか、家庭の中だけでは決めにくいときは、保険やお金の無料相談を使う方法もあります。相談が無料でできる理由と、使う前に準備しておくことは、子育て家庭の無料のお金の相談は使った方がいい?の記事にまとめました。

学資保険は受け取る額が決まっている。こどもNISAは相場で変わる

利回りだけで比べれば、S&P500の過去の数字は学資保険より高く見えます。ただ、学資保険は受け取る額が決まっていて、親に万一のことがあったときの払込免除もついています。

この記事の要点 1 2 3 学資保険は、受け取る額が契約で決まる 親に万一のときは、保険料が免除 こどもNISAは増える可能性を取る 年の利回りは約1.5〜1.6%(私の試算) 一般的な仕組み。条件は会社・商品で違う 元本保証はない。何を大事にするかで選ぶ どちらか一方でなく、両方を使う考え方もある
この記事の要点

あわせて読みたいこどもNISAは18歳でいくら?大学の学費に足りるか積立額別に計算 あわせて読みたいこどもNISAとは?いつから始まる?大人のNISAとの違いと注意点

よくある質問

Q学資保険の返戻率はどれくらい?

親の年齢や払い方、払う期間で変わるので、ひとまとめには言えません。2026年9月29日に公式ページで確認したソニー生命「学資保険(無配当)Ⅲ型」の月払の例では、保険料を10歳まで払うと126.5%、18歳まで払うと118.4%で、年の利回りに直すと約1.5〜1.6%です(受け取り時期を仮に置いた私の試算)。ほかの会社の例は学資保険のおすすめはどれ?の記事に、条件つきでまとめました。

Q学資保険を途中で解約するとどうなる?

払った保険料の総額より少ない額しか戻らないことがあります。ソニー生命は、短い期間で解約した場合は特に、解約返戻金が払込保険料総額を下回ることがあると書いています。

QNISAと学資保険どっちがいい?

学資保険は、受け取る額が契約で決まります。親が亡くなったときなどは、その後の保険料を払わなくても契約が続きます(払込免除)。こどもNISAは、受け取る額が投資信託の値段で変わり、増えた分に税金がかかりません。どちらも条件によっては元本割れがありえます。両方を使うときの分け方や、親のNISAで代わりになるかは、学資保険とこどもNISAの併用の記事にまとめました。

参考にした資料

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