しくみ

こどもNISAのデメリット・落とし穴7つ。親が使うとどうなる?

こどもNISAに入れたお金は子どもの財産になり、小学6年生の1月までは原則として引き出せず、途中で口座を解約すると利益に税金がかかります。財務省の法律案要綱と大綱、証券会社の注意書きを読み、始める前に知っておきたい7つの点をまとめました。

マリ

こどもNISAのお金って、いざというときは親が引き出して使えるのかな?

ユキさん

親が家計のために引き出すことは、原則としてできません。入れたお金は子どもの財産になります。12歳を過ぎてから引き出すときも、子どものための教育費か生活費に限られます。

マリ

家計の貯金と同じ感覚では入れられないんだね。

ユキさん

そうなんです。ほかにも、途中で解約すると税金がかかるなど、気をつけたいことがいくつかあります。

この記事でわかること

  • 入れたお金は子どもの財産になる
  • 途中で解約すると利益に約20%の税金
  • 個別株は買えず、元本の保証もない
目次

一番気をつけたいのは、親が家計に戻して使うことが、原則としてできないことです。始める前に知っておきたい点を7つに分けると、次のとおりです。

こどもNISAの落とし穴7つ

  1. 入れたお金は子どもの財産。18歳の年からは子ども本人のNISAに移る
  2. 名義だけ子どもにすると、名義預金と見られることがある
  3. 小学6年生の1月までは、原則として引き出せない
  4. 途中で口座を解約すると、それまでの利益に税金がかかる
  5. 1人1口座で、あとから会社を変えられない
  6. 個別株は買えない
  7. 元本の保証がない

こどもNISAを親が使うとどうなる?

親のお金 子どもの財産 入れると贈与 子どものための教育費・生活費 親の生活費・家計の予備に回す 12歳以降、子どもの同意の書類をつけて 払い出せる理由に入っていない 18歳の年から 子ども本人の大人のNISAに移る
入れたお金は子どもの財産。12歳以降の払い出しは子どものための教育費・生活費だけで、18歳の年からは子ども本人のNISAに移ります(財務省 法律案要綱・大綱、金融庁「アクセスFSA」第270号、楽天証券・SBI証券の説明をもとに作成)

親の都合で引き出して使うことは、原則としてできません。口座は子ども名義で、中の資産は子どもの財産です。親がお金を入れると、税金の上では子どもへの贈与として扱われます。贈与は、お金や物をただであげることです。

小学6年生の1月(12歳の年)からの払い出しも、子どものためのお金に限られます。払い出しは、口座からお金を引き出すことです。使い道は、子どものためのものであることが条件です。親は、子どもが払い出しに同意したことを示す書面をつけて、金融機関に申し出ます。決まった書式の依頼書には払い出しの理由を書き、その理由は教育費か生活費に充てるものに限られます。家計が苦しいから親の生活費に回す、という使い方は想定されていません。ルールに反して払い出すと、それまでの利益に税金がかかります。くわしくは、下の「途中で解約すると、それまでの利益に税金がかかる」の章でまとめています。

同意の書面の様式や、領収書などを付けるかどうかといった細かい手続きは、各社がまだ発表していません。12歳の年が近づいたら、口座のある証券会社の案内で確かめます。

18歳の年からは、子ども本人のNISAになります。1月1日時点で18歳になっている年から、特に手続きをしなくても大人のNISAへ移ります。大人のNISAには、毎月決まった額で投資信託を買っていく「つみたて投資枠」と、1つの会社の株なども買える「成長投資枠」があります。移る時期の決まり方はこどもNISAってなに?の記事にまとめました。

名義だけ子どもにすると、名義預金と見られることがある

入れるのは、子どもにあげたお金 子どものお金として 親のお金を子の名前で 入れた分は 子どもへの贈与 もらう人ごとに 年110万円まで申告不要 名義預金と 見られることがある 所得税・贈与税の 問題が出ることも SBI証券の注意 こどもNISAは年60万円まで。 同じ年のほかの贈与と合わせて数える
子どものお金として入れるか、親のお金を子どもの名前で置いておくか。後者は所得税・贈与税の問題が出ることがあります(SBI証券「NISA道場」、国税庁 タックスアンサー No.4402・No.4405をもとに作成)

口座が子どもの名前でも、中身が親のお金のままだと、所得税や贈与税の問題が出ることがあります。いわゆる名義預金の問題です。名義預金は、名前は子どもでも、実際には親のお金とみなされる預金のことです。

親や祖父母が出すお金は、いったん子ども名義の口座に移してから、こどもNISAで使います。親の口座から直接、子どものこどもNISAで買うことはできません。日本証券業協会の案内でも、こどもNISAで使えるのは、子ども名義の銀行口座や証券口座にあるお金だけです。

親がこどもNISAに入れたお金は、税金の上では子どもへの贈与になります。贈与税は、人からお金などをもらったときにかかる税金です。もらう人ごとに年110万円まではかかりません(基礎控除)。こどもNISAの年60万円だけなら、この110万円に収まります。同じ年のほかの贈与と合わせて数える点は、祖父母が出すときの贈与税の記事にまとめました。

わが家も、児童手当は親の口座に入ったまま、家計と混ざっています。もしこどもNISAに入れるなら、その分は子どもにあげたお金になる、と考えることになります。手当の分け方と贈与の考え方は、児童手当はこどもNISAに入れる?の記事にまとめました。個別の事情で迷うときは、税務署か税理士に確かめてください。

小学6年生の12月までは、原則として引き出せない

引き出せる時期は3段階 小6の1月より前 小6の1月から 高3の1月から 原則、引き出せない 教育費・生活費なら引き出せる 制限なし 災害・医療費など5つの事情で、 税務署長の確認を受けたら全額だけ 子どもの同意の書類をつけて ※学年は目安。法律では「その年3月31日の年齢」で決まる
引き出せる時期は3段階。学年は目安で、法律では「その年3月31日の年齢」で決まります(財務省 法律案要綱、租税特別措置法施行令の新旧対照表をもとに作成)

小学6年生の1月(法律では「その年3月31日に12歳である年」)より前は、原則として引き出せません。例外は、災害や大きな医療費など政令で決まった5つの事情があるときで、その場合も全額を引き出す形に限られます。5つの事情と手続きは、こどもNISAは途中で引き出せる?の記事にまとめました。小学6年生の1月からは、子どものための教育費か生活費に充てる場合に限って引き出せます。制限がなくなるのは高校3年生の1月からです。3段階の決まりと、誕生日ではなく3月31日の年齢で決まる点は、こどもNISAってなに?の記事にまとめました。

子どもが小さいうちに急な出費があっても、こどもNISAからは出せない前提で、別の貯金を用意しておきます。

途中で解約すると、それまでの利益に税金がかかる

高3の1月より前に口座を解約すると 口座を解約する・ルール外で払い出す 売っていなくても、全部売った扱いで計算 利益と分配金に約20%の税金 例:100万円が130万円なら、30万円に約6万円 会社は変えられない。移るなら同じ扱い 口座を解約して新しく作り直すしかない(日本証券業協会) ※災害などの事情や、出国による場合は除く
高校3年生の1月より前に口座を解約すると、売っていなくても税金の計算では全部売ったのと同じ扱いになり、利益と分配金に約20%の税金がかかります(財務省 法律案要綱・令和8年度税制改正の大綱、日本証券業協会の案内をもとに作成)

NISAは本来、投資で増えた分に税金がかからない(非課税の)制度です。ところが、高校3年生の1月より前に、ルールに反して払い出したり口座を解約したりすると、実際には投資信託を売っていなくても、税金の計算では、その日に全部売ったのと同じ扱いになります(法律では「売ったものとみなす」と書かれています)。「売っていない」のは、たとえば投資信託を売らずに、同じ証券会社にある子ども名義の普通の口座(税金がかかる口座)へそのまま移す場合です。国の省令にも、こどもNISAの投資信託を別の口座へ移す(移管する)ときの依頼書が決められています。前のジュニアNISAでも、払い出した投資信託は子ども名義の普通の口座へ移る仕組みでした。この場合も、移した日に売ったのと同じ計算で、それまでの利益と分配金に税金がかかります。分配金は、投資信託が利益の一部を持ち主に配るお金です。税率は、所得税15%と住民税5%の計20%です。損が出ていた場合は、損はなかったものとして扱われます。災害などのやむを得ない事情や、海外への転居(出国)で解約する場合は、この税金の扱いから除かれます。

たとえば、入れたお金が100万円で、解約するときに130万円になっていたら、利益の30万円に20%の税金がかかり、約6万円になる計算です。

税金の額は、解約する時期で大きく変わります。0歳から月1万円を積み立て、年5%で毎年増えたと仮定して、途中で口座を解約した場合を計算すると、次のとおりです。

解約する時期 入れたお金 その時点の額 利益 税金(20%)
6歳 72万円 約83.5万円 約11.5万円 約2.3万円
12歳 144万円 約195.3万円 約51.3万円 約10.3万円
15歳 180万円 約264.8万円 約84.8万円 約17.0万円

長く置くほど利益が大きくなるので、何年も続けたあとで解約するほど、かかる税金も大きくなります。15歳で解約すると、6歳で解約したときの7倍以上です。家計の予備のつもりで入れて、何年も続けたあとに口座ごと解約する、という形が一番負担が重くなります。

この決まりは、証券会社選びにも関わります。口座は子ども1人につき1つで、あとから金融機関を変えることはできません。別の会社へ移るには口座を解約して新しく作り直すしかなく、そのときも、この税金がかかります。詳しくはこどもNISAの口座開設はどこの証券会社で?の記事にまとめました。

個別株は買えず、元本の保証もない

買えるのは、投資信託の積立だけ 投資信託を、積立で買う 個別株(1つの会社の株) 元本の保証 親に万一のときの保障 つみたて投資枠の対象のものだけ 成長投資枠を一緒に使えない 値段は毎日変わり、減ることもある 親が亡くなったときの保障はない
買えるのはつみたて投資枠の対象の投資信託を積立で買うことだけ。個別株は買えず、元本の保証もありません(財務省 法律案要綱、三菱UFJ eスマート証券・楽天証券の案内、投資信託協会の説明をもとに作成)

こどもNISAで買えるのは、国が長く積み立てるのに向くと認めた投資信託を、毎月などの積立で買うことだけです。範囲は、大人のNISAの「つみたて投資枠」で買えるものと同じです。こどもNISAの間は、株も買える「成長投資枠」が使えません。そのため、個別株(1つの会社の株)は買えません。私は最初、この子が大人になるころに大きくなっていそうな会社の株を子どもの口座で買いたいと思っていましたが、こどもNISAではできないと知りました。何を選ぶかはこどもNISAで何を買える?の記事にまとめました。

投資信託には、元本(入れたお金そのもの)の保証がありません。値段は毎日変わり、入れたお金より少なくなることがあります。これを元本割れといいます。投資信託のお金は信託銀行が、自社の財産と分けて管理しています。ただ、お金が分けて守られていることと、元本が保証されていることは別の話です。

学資保険は、子どもの進学に合わせてお金を受け取れる保険です。親が亡くなっても、その後の保険料を払わずに、予定の学資金を受け取れます。こどもNISAでは、親が亡くなると、その先の積み立ては止まります。学資保険との違いは、学資保険ってなに?の記事で比べています。

落とし穴の多くは、子どものお金として長く置く前提なら避けやすい

落とし穴の多くは、入れたお金を子どものものとして、高校3年生の1月まで引き出さない前提で使えば避けやすくなります。家計の予備として入れると、必要なときに引き出せなかったり、途中で解約したときに税金がかかったりします。個別株が買えないことと、元本の保証がないことは、始める前に知っておきたい点です。

この記事の要点 123 入れたお金は子どもの財産 途中で解約すると、利益に約20% 個別株は買えず、元本保証もない 親の都合では引き出せない 小6の1月までは原則引き出せない 1人1口座で、会社も変えられない
この記事の要点3つ(財務省 法律案要綱・大綱、SBI証券「NISA道場」、投資信託協会の説明をもとに作成)

あわせて読みたいこどもNISAとは?いつから始まる?大人のNISAとの違いと注意点 あわせて読みたい児童手当はこどもNISAに入れるべき?入れる額の決め方と使える時期

よくある質問

Q子供ニーサの落とし穴は?

入れたお金が子どもの財産になり、親が家計に戻して使えないことです。小学6年生の1月までは原則として引き出せず、高校3年生の1月より前に口座を解約すると、それまでの利益に約20%の税金がかかります。ほかに、1人1口座であとから会社を変えられないこと、個別株が買えないこと、元本の保証がないことがあります。

Q子供NISAを親が使うとどうなる?

親の都合で引き出して使うことは、原則としてできません。12歳以降に払い出せるのは、子どものための教育費か生活費に充てる場合で、子どもの同意を示す書類も要ります。ルールに反して払い出すと、それまでの利益に税金がかかります。

QこどもNISAを途中で解約するといくら税金がかかる?

高校3年生の1月より前に解約すると、それまでの利益と分配金に約20%(所得税15%と住民税5%)がかかります。たとえば、入れたお金が100万円で、解約するときに130万円になっていたら、利益の30万円に20%で約6万円です。損が出ていれば、損はなかったものとして扱われます。

参考にした資料

ほかの疑問も見る

疑問の一覧へ