お金の計算

教育資金の貯め方は?預金・学資保険・こどもNISA・親のNISAを比べる

公立に通う場合、教育資金で一番大きなお金が要るのは大学入学の年です。預金・学資保険・こどもNISA・親のNISAは、その年に使えるか、途中で減ることがあるか、税金がどうかがそれぞれ違います。国税庁・金融庁・文部科学省の資料で4つを同じ物差しで並べ、決める順番を整理しました。

マリ

教育資金って、預金と学資保険とNISA、どれで貯めればいいのかな?

ユキさん

4つとも、増え方と引き出せる時期が違うんです。NISAにも、子どもの分と親の分があります。

マリ

じゃあ、何から決めればいいんだろう?

ユキさん

最初に、大学に入る年にいくら用意したいかを決めます。その分を減らない方法で用意して、残りをNISAに回すかを考えます。

この記事でわかること

  • 4つの貯め方の違いを1つの表で比べる
  • 入学の年の額から毎月の額を逆算する
  • 4つを割り当てる順番と児童手当の扱い
目次

教育資金の貯め方には、預金・学資保険・こどもNISA・親のNISAの4つがあります。学資保険は、毎月保険料を払い、子どもの進学のころに決まった額を受け取る保険です。NISAには、子どもの名前で使う「こどもNISA」と、親が自分の名前で使う「親のNISA」があります。大学入学の年に払う額を先に決め、その分は減らない方法で用意し、それより後に使うお金はNISAも候補に入れます。大学に払う入学の年の学費は、国立大学の標準額で約82万円、私立大学の平均で約138万円です。受験料や通学費などは、これとは別にかかります。

教育資金の貯め方は4つ。増え方・減る可能性・使える時期・保障・税金が違う

預金 学資保険 こども NISA 親の NISA 増え方 利息の ぶんだけ 契約で 決まった額 値動き しだい 値動き しだい 減る 可能性 元本は 減らない 途中解約で 減ることも 値下がりで 減ることも 値下がりで 減ることも 使える 時期 いつでも 契約で 決めた時期 小6〜教育費 高3〜自由 いつでも 売れる 親に 万一のとき 保障なし 保険料が 不要に 保障なし 保障なし 税金 利息に 約20% 利益は 一時所得 利益に かからない 利益に かからない 安心できる点 気をつけたい点 ※保険料が不要になるのは一般的な仕組み。条件は商品で違う ※一時所得=一度きりの収入。ほかと合計で利益50万円まで所得税なし ※小6・高3は、その学年の1月から
教育資金の4つの貯め方を、5つの物差しで比べた図(国税庁 No.1310・No.1755、預金保険機構、生命保険文化センター、金融庁、財務省の法律案要綱をもとに作成)
預金 学資保険 こどもNISA 親のNISA
増え方 利息のぶん 決まった額 相場しだい 相場しだい
減る可能性 減らない(1,000万円まで保護) 途中解約で減ることも 元本保証なし 元本保証なし
使える時期 いつでも 契約で決めた時期 小6の1月から教育費、高3の1月から自由 いつでも
親に万一のとき なし 払込免除(一般的な仕組み) なし なし
税金 利息に20.315% 一時所得(親が払い親が受け取る場合) 非課税 非課税
だれのお金か 名義人 契約者 子ども 親

増え方と減る可能性は、裏表の関係にあります。預金は元本(預けたお金そのもの)が減らない代わりに、増えるのは利息のぶんだけです。普通の預金は、預金保険の制度で、1つの金融機関ごとに1人あたり元本1,000万円までと利息が守られます。学資保険は受け取る額が契約で決まりますが、途中で解約すると、戻るお金が払った保険料の合計を下回ることがあります。こどもNISAと親のNISAでは、主に投資信託を買います。値段は毎日変わり、元本は保証されていません。

親が亡くなったときの備えがあるのは、学資保険だけです。契約者の親が亡くなった場合などに、その後の保険料を払わなくても予定の学資金を受け取れる仕組み(払込免除)が、一般的についています。条件は会社と商品で違います。

税金の扱いも4つで分かれます。預金の利息には、受け取るときに所得税などと住民税を合わせて20.315%が引かれます。NISAは、売ったときの利益にも分配金にも税金がかかりません(非課税)。分配金は、投資信託が利益の一部を持ち主に配るお金です。

学資保険は、保険料を払った人と受け取る人が同じ親なら、受け取るお金は「一時所得」になります。一時所得は、給料などとは別に、一度きりで入ってきた収入のことです。受け取った額から払った保険料を引いた利益が50万円(その年のほかの一時所得と合計)までなら、所得税はかかりません。受け取る人が子どもなど、払った人と違う場合は贈与税の対象です。たとえばソニー生命が公表している例(Ⅲ型・22歳満期・月払で10歳まで払込、契約者30歳男性・子0歳、2026年8月時点)では、払う総額が約158万円、受け取る学資金が200万円で、利益は約42万円です。この例なら、ほかに一時所得がなければ50万円の範囲に収まる計算です。何回かに分けて受け取る場合の扱いは、商品ごとに確かめる必要があります。

表の最後の行は「だれのお金か」です。こどもNISAに入れたお金は子どもの財産になるので、途中で親の都合では引き出せません。親のNISAのお金は親のものです。

教育資金はいくら要る?大学に払う学費は入学の年で約82万〜138万円

大学入学の年のお金(国公立) 大学に払う学費だけ(省令の標準額) 約82万円 受験費用・通学費なども含めると(公庫) 入学費用 67.2万円 + 1年目の在学費用 103.5万円 = 約171万円 入学費用=受験費用・入学しなかった学校 への納付金・入学した大学への納付金 ※公庫は2021年の調査。在学費用には塾なども少し入る ※棒の長さは金額に比例
大学入学の年のお金。大学に払う学費だけなら国立大学の標準額で約82万円。日本政策金融公庫の2021年の調査で、受験費用や通学費、教科書代なども含めると、国公立で約171万円(国立大学等の授業料その他の費用に関する省令、日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果」をもとに作成)

私はこどもNISAを、学費を出すイメージで積み立てたいと考えています。その目安にしやすいのが、大学入学の年の額です。幼稚園から高校までの費用は毎年の家計から出ていくお金で、合計は教育費は全部でいくら?の記事にまとめました。

国立大学は、国が省令で標準額を決めていて、入学料が282,000円、授業料が年535,800円です。入学の年は合わせて約82万円になります。私立大学は、文部科学省の令和7年度入学者の平均で、入学料・授業料・施設設備費を合わせて約138万円でした。実験実習料なども入れた初年度の総計は約151万円です。

ただし、これは大学に払う学費だけです。日本政策金融公庫の2021年の調査では、受験費用や、入学しなかった学校に払った入学金などを含む入学費用が、国公立で平均67.2万円でした。これに1年目の授業料や通学費、教科書代などの在学費用103.5万円が加わり、入学の年に出ていくお金は合わせて約171万円です。この調査は5年前のもので、在学費用には塾などの費用も少し含まれています。

毎月いくら貯めれば届く?学費の額から逆算する

入学の年の学費を、1歳半から198か月で用意 国立大学(標準額) 入学料+1年目の授業料 約82万円 ÷ 198か月 = 月4,130円 (増えない場合) 年3%で増えると仮定すると 月3,209円 私立大学(平均) 入学料+授業料+施設設備費 約138万円 ÷ 198か月 = 月6,975円 (増えない場合) 年3%で増えると仮定すると 月5,418円 4年分すべてなら(増えない場合) 国立 月12,248円/私立平均 月24,257円 ※年3%は仮定。過去の実績は将来を約束しない ※私立は令和7年度入学者の平均。棒は金額に比例 ※大学に払う学費だけ。受験料・通学費などは別
大学入学の年に大学に払う学費を、2027年1月に1歳半で始めて198か月で用意するときの毎月の額。増えない(年0%)場合と、毎年3%ずつ増えると仮定した場合(国立大学等の授業料その他の費用に関する省令、文部科学省「私立大学等の令和7年度入学者に係る学生納付金等調査結果」をもとに計算)

こどもNISAは2027年1月に始まるので、いま1歳の子なら、始められるのは1歳半からです。大学入学の年まで198か月で、大学に払う学費を用意するには毎月いくら積み立てればよいかを逆算しました。表の「年0%・年3%・年5%」は、積み立てたお金が1年に何%ずつ増えるかの仮定です。年0%は、まったく増えない場合です。

用意する額(1歳半から198か月) 年0% 年3% 年5%
国立 入学の年(約82万円) 4,130円 3,209円 2,694円
私立平均 入学の年(約138万円) 6,975円 5,418円 4,549円
国立 4年分(約243万円) 12,248円 9,515円 7,989円
私立平均 4年分(約480万円) 24,257円 18,844円 15,821円

増えなかった場合、国立大学の入学の年の分は月約4,100円、私立大学の平均なら月約7,000円です。預金に置いたままでも、この額を毎月貯めれば届きます。0歳から216か月貯められる場合は、それぞれ月3,786円、月6,393円になります。受験費用や通学費まで用意するなら、この額に上乗せが要ります。

毎月の額から18歳の額を見る計算は毎月1000円・5000円・1万円なら18歳でいくら?に、積み立てた額と学費の比較はこどもNISAは18歳でいくら?の記事にまとめました。

大学入学の年に、4つのお金は使える?

0歳 小6の1月 高3の1月 入学 預金 いつでも引き出せる 親のNISA いつでも売れる(値動きあり) 学資保険 契約で決めた時期に受け取る こどもNISA 原則、引き出せない 教育費なら 自由 4つとも、大学入学の年には使える ※こどもNISAの境目は「その年3月31日の年齢」が基準 ※間隔は目安で、年数に比例していません
4つの貯め方で、お金を使える時期を並べた図。こどもNISAは小学6年生の1月から教育費・生活費に、高校3年生の1月から制限なく使える(財務省の法律案要綱、生命保険文化センター、金融庁の資料をもとに作成)

4つとも、大学入学の年には使えます。違いは、それより前に使えるかどうかと、使うときの額が決まっているかどうかです。

預金は、いつでも引き出せます。親のNISAも、売る時期に制限はありません。NISAで投資できる額には1年ごとの上限(枠)がありますが、売った分の枠は翌年以降にまた使えます。どちらも家計の急な出費に回せるので、使いやすい反面、教育費として貯めていたお金を、ほかの出費に使ってしまうこともあります。

学資保険は、受け取る時期を契約のときに決めます。満期は、15歳・17歳・18歳・22歳など商品ごとに選べます。入学や進学の時期に、途中で祝金を受け取るタイプもあります。受け取りが入学金を払う時期に間に合うかは、契約の前に確かめます。

こどもNISAは、高校3年生の1月(法律では、その年の3月31日に18歳である年の1月1日)から制限なく引き出せます。大学の入学料を年明けに払うなら、制限なく引き出せる期間に入っています。それより前に払う入学金は、小学6年生の1月から認められている「教育費としての払い出し」の手続きになりますが、各社の手続きはまだ発表されていません。引き出しのルールはこどもNISAとは?の記事にまとめました。

どれで貯める?入学の年に使う分と、その先のお金で分ける

1 大学入学の年の額を決める 国立 約82万円/私立平均 約138万円 2 その分は、減っては困るお金 → 預金か学資保険を候補に 3 先のお金・上乗せ分 → こどもNISAか親のNISAを候補に 児童手当をどこに入れるかは、別に決める ※一例です。どれを選ぶかは家庭の事情で変わります
4つの貯め方を割り当てる順番の一例。大学入学の年の額を先に決め、減っては困る分と、先のお金・上乗せ分に分ける(文部科学省の資料、財務省の法律案要綱、金融庁の資料をもとに作成)

NISAの2つで気をつけたいのは、使う年の相場、つまりそのときの値段です。大学入学の年に値下がりしていれば、下がった値段で売ることになります。入学の年の分のように「その年に必ず要る額」をすべてNISAに頼ると、この影響を大きく受けます。

そのため、大学入学の年の額は、預金か学資保険で用意します。2年目以降の授業料、下宿の費用、留学など、使うかどうか・いくらかがまだ決まっていないお金は、こどもNISAか親のNISAで積み立てます。こどもNISAのお金は子どもの財産で、途中で引き出しにくくなります。親のNISAのお金は親のもので、いつでも引き出せます。

学資保険とこどもNISAのどちらを選ぶかは学資保険とこどもNISAはどっちがいい?で、両方を使うときの配分は学資保険とこどもNISAは併用できる?で比べています。

児童手当は、4つの方法のどれで貯めるかを、別に考えるお金です。第1子・第2子なら、こども家庭庁の案内で3歳未満は月1万5,000円、3歳から高校生年代までは月1万円です。わが家では手当が親の口座に入ったまま家計と混ざっていて、手当より子どもにかかる出費の方が多いのが実情です。手当をそのまま別に貯めるのか、こどもNISAに入れるのかの考え方は、児童手当はこどもNISAに入れるべき?の記事にまとめました。

教育資金は、大学入学の年の額を決めてから4つに割り当てる

先に大学入学の年の額を決め、その分は預金か学資保険で用意します。それより後に使うお金は、こどもNISAか親のNISAも候補に入れて割り当てます。

この記事の要点 1 4つの貯め方は、物差しごとに違う すべての面で上の方法はない 2 入学の年の学費は約82万〜138万円 1歳半から月約4,100〜7,000円で届く 3 減っては困る分は、減らない方法で 先のお金・上乗せ分はNISAも候補に 学費だけ・年0%で計算。受験料や通学費は別
この記事の要点

あわせて読みたい教育費はいくら?幼稚園から大学まで、公立・私立の組み合わせ別の合計

あわせて読みたい学資保険とこどもNISAは併用できる?役割の分け方と配分の考え方

よくある質問

Q教育資金はいくら貯めればいい?

まず、大学入学の年に要る額を目安にします。大学に払う入学料と1年目の授業料などは、国立大学の標準額で約82万円、私立大学の平均(令和7年度入学者)で約138万円です。これは学費だけの額で、日本政策金融公庫の2021年の調査では、受験費用や通学費なども含めると、国公立でも入学の年に約171万円かかっていました。幼稚園から大学までの合計は教育費は全部でいくら?の記事にまとめました。

Q教育資金はNISAで貯めてもいい?

貯められますが、投資信託なので元本は保証されず、使う年に値下がりしていることもあります。こどもNISAは子どものお金になり、小学6年生の1月より前は原則引き出せません。親のNISAはいつでも売れますが、親のお金なので、ほかの出費に回ってしまうこともあります。

Q教育資金は毎月いくら積み立てればいい?

大学に払う学費だけを目標にする場合、2027年1月に1歳半で始めて198か月積み立てると、増えなかったとしても、国立大学の入学の年の分の約82万円には月約4,100円、私立大学の平均の約138万円には月約7,000円で届きます。0歳から216か月なら、それぞれ月約3,800円、月約6,400円です。受験費用や通学費などは別にかかるので、その分は上乗せして考えます。

Q教育資金は学資保険とNISAのどっちがいい?

学資保険は、受け取る額が決まっていて、親が亡くなってもその後の保険料を払わずに学資金を受け取れます。NISAは、増える可能性がある代わりに、元本の保証がありません。比べ方は学資保険とこどもNISAはどっちがいい?、両方を使うときの配分は学資保険とこどもNISAは併用できる?の記事にまとめました。

参考にした資料

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